とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
それから数週間たった休日のある日、午前中に右京とSkypeをしていた時の事だった。
「みんな元気?」
「うん、そっちは?」
「毎日大変だよ…厄介なヤツに目つけられてさ…」
「隣の部屋の人?」
「あ~そっちもだけど、もっと厄介かも…」
と、そこで何やら右京の後ろから女の声が聞こえて来て心拍数が上昇した。
「…右京…誰かいる?」
「あ~厄介なのが…」
「…女の子?」
「…なぁ、誤解してないよな?」
「なにが?後ろに居るのが女の子じゃないとでも!?」
「まっ…待てって!説明するから!」
悔しくて涙が出そうになるのをこらえながら忍は右京の言葉に耳を傾けた。
「セイレーンなんだよ…」
「セイレーン?」
「妖怪みたいなもんだ。」
「…かわいい?」
「え?…まぁ一般的にはそうかも…俺は苦手だけど…」
そこまで言うと右京は誰かに向かって何やら早口な英語で怒鳴った。
ちょっと呆気にとられた忍は一瞬言葉を失った?
「…一応女の子なのよね?」
「ん。そうみたい。」
「早口で何言ったか分かんなかったけど、女の子にはもう少し優しくしてあげたら?」
「はぁ!?つけあがるだけだろ?
つか、そこは“そんなヤツ追い出して”って逆上するとこだろ!?
どんだけお人好しなんだよ…」
何故か逆に怒られさっきとは違う意味で悔しくなった。