とある堕天使のモノガタリⅡ ~MIDRASH~


右京は何かに気付いたように「お前まさか…」と急に神妙な声になった。


「言い寄られた男にもそうなのか?」

「…そうなのかって?」

「はっきり言ってないんじゃないか?」

「…そんな事ないよ…」


思わず歯切れの悪い言い方をしてしまい、鋭い右京には見透かされてしまったらしい。


「右京に言われたくないもん!

自分だって…私が後輩に言い寄られた時お人好し発言してたじゃない!」


こんな可愛くない事言いたい訳じゃないのに、忍は素直に慣れない自分が嫌になった。


「あの時は俺が一緒だった時だろ!?」

「大して変わらないわよ!」

「全然ちげーよ!迫られたらどうやってかわすんだよ!」

「右京がいなくても大丈夫だもん!」

「おまっ…何でそんな事が言えんだよ!
素直じゃねーな…」

「う…うるさい!もうバイト行くから!」


忍はつい一方的に通信を切ってしまってから自己嫌悪に陥った。


「あ~…やっちゃったよ…」


こんな時どうやって仲直りしてたのかが思い出せない。


…どうしよう…
右京凹んでるかも…


ひとりで頭を抱えていたが、バイトには行かないといけない時間なのでノロノロと化粧を始めた。


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