とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
ようやく追いついた堤は忍の隣りに座った。
「堤くんも何か飲みなさいよ。
ジンヤ君、この人にもね。」
そう言って堤を指差すと、ジンヤは彼を舐めるように見て忍にコッソリ聞いた。
「…誰っすか?この冴えない人は…」
「バイト先の人。」
「へぇ…なぁ、あんた何飲む?」
「ああ、じゃあジンを…」
そう言う堤に挑戦的な目をして頷いた。
「…忍ちゃん、ここよく来るの?」
「たまにね。最近は来てなかったけど。」
「なぁ…あんた。
忍さんが誰の女か知ってて付いてきてんの?」
ジンヤは堤の前にジントニックを出しながら聞いた。
「え!?…いや、知らないけど…」
「…命知らずだな…ご愁傷様!」
「やめてよ、ジンヤ君。
堤くん、大丈夫よ。」
「忍ちゃんの彼氏って…“ナイト”みたいな人?」
「ん~…忍さんから見たら確かに“ナイト”だな…
まぁ俺から見たら“鬼夜叉”だけど!」
そう言ってジンヤが笑うと堤はだんだん白くなった。
ジンヤは丁度戻って来たゴウに手招きをした。
「よぉ、忍ちゃん。…またお前か…」
「ゴウさん、黒崎さんはゴウさんから見たらどんな人っすか?」
「はぁ?黒崎?ん~…“死神”だな。」
「死神!?」
蒼白になる堤をよそに忍とジンヤは爆笑した。