とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
ふとそこで堤の存在に気付いた。
「忍ちゃんの知り合い?」
「うん、バイト先の人。」
堤は貫禄たっぷりのガクに「どうも」と頭を下げた。
「…忍ちゃん狙いか…お前じゃ無理だぞ?」
「俺はそんな…忍ちゃんが凹んでたんで、付き添いです!」
「まぁ、いい。…で?何があった?」
「…朝、右京と話してたら喧嘩になって、私ひどい事散々言っちゃった…」
「想像つく。どうせまたいつもの心配性だろ?」
「なんで判るの!?」
「だいたい判るさ。アイツ単純だから!」
そうキッパリと言い放つガクに忍は笑った。
「…あんな事言うつもりじゃなかったのに…
仲直りの仕方がわからないの…」
「なるほど。…で、やけ酒か…」
ガクは溜め息をつくと携帯を取り出しカチカチといじりだした。
忍は俯いて手元に視線を落とした。
その様子に堤は忍を覗き込んだ。
「後悔してるなら謝っちゃえばいいじゃないか。」
「確かに言い過ぎたけど…」
左手の指輪をいじりながら戸惑う忍に堤は困ったように笑った。
「おい!お前に話があるってよ!」
突然ガクから携帯を渡され堤は首を傾げた。
「…もしもし…」
「…お前か、忍に付き纏ってる男ってのは…」
「え!?…って…ええ!?」
その電話の相手が忍の彼氏だと分かり堤は直立不動になった。