とある堕天使のモノガタリⅡ ~MIDRASH~


『“怪死”と言うくらいだ。死因に何か不振な点があったんだろ?』


ダンは『いい質問だ』と頷いた。


『死因は異物による窒素だ。

問題は何を詰まらせたかって事だ。』

『何だったんだ?』

『“虫”だ。』

『虫!?…犯人はハンニバルだな。』


そんな冗談にシンディはニックを睨んだ。


『警察も最初は映画を真似ての犯行だと思ったらしいが、それにしても不可解な点があったのさ。』

『どんな?』

『異物が喉に詰まったって意外、遺体は無傷だった。』

『なるほど…防御創もないのか…』


通常何らかの方法で襲われた場合、人は反射的に手のひらで防御をする。

その際出来る傷が“防御創”だが、それが無かったとなると…


『縛られた痕跡もないのか?』

『皆無だ。考えられる理由は自ら詰まらせたか、無抵抗だったか…

どちらも疑問が残る。』


一同はダンの言葉に頷いた。


『強盗事件の犯人が怪死事件の被害者ってのは間違いないのか?』


虎太郎の質問にダンは『おそらく』と曖昧な返事をした。


『調査中らしい。だが強盗の現場から被害者の指紋が出ている。』

『となると…人間業じゃないな…』

『じゃあ犯人誰?』


しばらく悩み沈黙が流れた。


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