とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
仮にそれが人間じゃなかったとしても、まだ情報が足りない。
『その内容だけだと、特定するには早いんじゃないか?』
『まだ不鮮明な所があるしな…第一強盗したのならその戦利品はどうなった?』
『ニコルとコナー夫妻の接点もあったかも…
だとしたら黒幕のボスが始末して横取りしたとも考えられるわ。』
そんな討論を重ねても憶測が飛び交うだけで時間の無駄だと右京は思った。
何より、彼はとても眠かった。
『オーケー、こうしないか?』
右京がそう切り出すとみんなが一斉に視線を向けた。
『極秘資料を見に行こう。』
『…お前正気か!?』
『データベースにハッキングって手もあるが、足が付くから避けたいだろ?
だったら直接見に行けばいい。』
『クロウ、それにはあまり賛成出来ない。
相手は警察だぞ?』
心配するアラン達に右京はニヤリと笑った。
『俺を誰だと思っている。ヘマはしないさ。
ヤバいと感じたら撤収する。』
『クロウならやれるかもしれないな…』
珍しくダンも右京の案に乗ると、アランは小さく溜め息を付いた。
『分かったよ…でも発信機を付けておいてくれよ?
こっちから誘導するから。』
『了解。』
ロイは以前よりも小型のインカムを右京に手渡した。