とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
右京達がP2に戻るとアランは満足そうに笑みを浮かべた。
『ひとまず大成功だ!』
その言葉にホッと胸をなで下ろした。
『鮮やかなお手並みだったよ。
無線を傍受してるが追っ手もかかってない。』
ロイはそう言って『さすがだ』と親指を立てた。
『で、資料に何かあったか?』
『幾つか気になる事があった。』
虎太郎は自分達が目にした内容を報告した。
『アレを持って帰れたらな~』
『次回の為に小型カメラでも用意しとくよ。』
『本題に入ろう。』
ダンの言葉にみんな表情を引き締めた。
『やはり“誰か”が居たのは間違いなさそうだ。
それが何者かが問題だ。』
『ソイツが戦利品とやら現金やらを横取りしてとんずらしたのね、きっと…』
『なぁ…不思議なんだけどさ…普通金が手に入ったらどうする?』
『…使うだろうな…』
『そしたら粗末な家財は要らないだろ?
人間はもっと強欲だと思うんだよ。』
ニックの発言にみんなも『確かに』と首を捻った。
人間は欲深い生き物だ。
もっと強欲に…
『なるほど。“強欲”だよ…』
右京は顔を上げてアランを見た。
『見えない“誰か”は“強欲”なんだ。
だから金目の物を横取りした。
被害者に一時の幻を見せて…』
『言ってる意味がわからない…』
ロイは眉を寄せたが、ニックはハッとした。