とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
「…で?」
「はぁはぁ…でって?なに?」
キャンパスの隅で身を潜めて追っ手をやり過ごす。
「どーしたらこーなる!」
「大学がバレてもここまで早く俺だって分かるなんて計算外だったんだよ!」
突如聞こえた物音に振り返るとサングラスの男に取り囲まれていた。
右京達にとって男達を蹴散らす事は簡単だ。
だが、このまま大人しく捕まってしまえば堂々と内部に入れる…
「賭けだな…どうする?」
「…従ってみよう。」
そのまま目隠しをされると、ワンボックス車に詰め込まれた。
車は30分程走ると引きずられる様に手荒く下ろされた。
『騒ぐなよ。』
そう言われ地下へ続いていると思われる階段を下り、どこかの部屋に入ったところで目隠しを外された。
『お前か、ハッキングしたのは…何者だ?』
『…ただの留学生だよ。』
『ただの留学生がわざわざハッキングまでするはずないだろ!』
虎太郎は声を荒げる男を睨み付けた。
『なんかマズい事でもあるの?』
右京は穏やかな声で言うとゆっくりとグリーンアイで男達を見据えた。
『そもそも秘密結社がこの時代にあると思わなかった。
…一体何をしている?』
『我々は世の中にはびこる悪の存在を知らしめる為に結成された。』
『…知らしめるって…』
『…悪ははびこらせたままじゃん…』
『だっ…黙れ!』
カッとなって手を振り上げた男は右京の頬を思いっ切り叩いた。
「右京!?
…貴様…よくも!」
逆上した虎太郎は風を巻き起こし、その男を吹き飛ばした。