とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
『“強欲”か!』
『なんだ!?教えろよ!』
ニックは本棚から一冊の本を出して捲り始めた。
『“強欲”を象徴する悪魔だよ。』
右京の一言にシンディは目を見開いた。
『“マモン”!?』
『正解!ヤツなら全て説明つく。』
ニックは『あった』と呟いて手にしていた本をテーブルに置いた。
七つの大罪“強欲”の象徴と言われる悪魔、“マモン”について書かれていた。
『コイツは人を騙して駒の様に動かす。
用が済めばこの通りだ。』
そう言ってダンはスクリーンの被害者を指差した。
『マモン自体が動き回る訳じゃないから見つけるのが困難だな…』
虎太郎の呟きに一同が頷いた。
アランは小さく溜め息をつくと立ち上がった。
『マモンが動くとしたら強盗事件の後だ。
今はこっちも手出し出来ない。』
『とりあえず今日は解散だな…
新たな情報が入ったら再度作戦を練ろう。』
ダンの言葉を受けてメンバーは立ち上がり帰って行った。
『クロウとヒューガは少し残ってくれ』
部屋を出ようとしていた二人はアランのところに戻った。
『確認しておきたいんだが、マモンを知っているか?』
『もちろん。』
『知ってるも何も、一度タルタロスに送った事がある。』
右京がそう言うとアランは身を乗り出した。