とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
『それは本当かい!?』
『ああ。もう何世も前の話だがな…』
『実際のところここに書かれている内容と相違は?』
ニックの開いた本を指差しアランは興奮気味に聞いた。
『大体合ってる。違うとすれば…』
『“汚物を浴びせて~”ってこれはないな…』
『…だな…自分が汚れるのを嫌う。意外と神経質だ。』
アランは『なるほど』と何か考え込んだ。
右京はちょっと欠伸をすると、寝不足なのを思い出した。
『アラン…もう2時だ。明日にしよう。』
『ああ、そうだったね。呼び止めてすまなかった。』
『話は俺が聞くから右京は帰っていいぞ。』
右京は虎太郎とアランに『助かる』と短く答えると今にも眠ってしまいそうな顔でP2を出て行った。
トボトボ歩きながらぼんやりレポートの存在を思い出した。
…今日は無理だ…明日にしよう…
ひとりで溜め息を付き寮の扉に手をかけたところで誰かに抱きつかれた。
『…リサ…今日は勘弁してくれ…』
『ずっと待ってたのに!』
『かなり迷惑だし、お前には興味ない。』
そう言うとリサは右京から離れて寂しそうな顔をした。
『悪いな。
…お前もいい加減帰った方がいい。
あまりクー・シーを困らせるなよ?』
そう言い残してリサを置いて部屋に入って行った。