とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
ヒューガは黙ってリサの隣に座ると優しく微笑んだ。
『帰らないのか?』
『…帰りたくない…』
『ワォ…凄い誘い文句だね~
リサには似合わないよ。』
そう茶化すヒューガにちょっと笑った。
『うん…リサは笑ったら可愛いよ。』
『…でもクロウは興味ないって…』
『そりゃあ仕方ないよ。
アイツには愛する人が居るんだから。』
『…わからないの…“愛する”って事はどういう事なの?』
『それを俺に聞くの?
俺だってわからないよ。』
『ヒューガも?…じゃあ私と同じだね。』
『そうだよ、リサだけじゃないよ。』
そう言って笑ってくれるヒューガにリサも微笑んだ。
『さぁ、そろそろ寝ないと俺も明日起きれないよ。』
『…行っちゃうの?』
ヒューガは頭をポリポリと掻いてリサの頭を撫でた。
『そんな寂しそうな顔するなって!
ったく…世話がやけるな…』
ヒューガは『ほら』と言ってリサに手を差し伸べた。
『俺が女の子を独りに出来るわけないだろ?
泊めてやるから!』
リサはちょっと嬉しくてその手を掴むとヒューガに抱き付いた。
『ありがとう、ヒューガ…』
『はいはい』
そう言ってヒューガはリサの頭をまたヨシヨシと撫でてくれたのだった。