とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
翌朝、虎太郎は結局起きれなかった。
『ヒューガ?そろそろ起きないと講義に遅れるよ~』
同室のリーにそう声をかけられ眠そうに体を起こした。
…と、リーは虎太郎のベットにもう1人居たのに気付いた。
『なっ…!?』
虎太郎はリーの口を素早く片手で塞ぐと『しぃー…』と口の前で人差し指を立てた。
リーは真っ赤な顔でコクコクと首を縦に振った。
『昨日遅くまで寝れなかったんだ。
もう少し寝かせてやってくれ。』
小声でリーにそう言うと彼は『わかった』と言って部屋を出て行った。
虎太郎は気持ちよさそうに眠るリサを見て溜め息を付いた。
「ホントに世話がやけるお姫さんだよ…」
そう言って静かに頭を撫でると着替えて部屋を出た。
右京は食堂に行く途中で慌てているリーを見つけた。
『よぉ、リーじゃないか。虎太郎は起きてるか?』
『えっ!?ヒッ…ヒューガなら…さっき起きて…』
『んだよ、寝坊かよ!たまには迎えに…』
『だっ…だめ!!今はだめ!!』
必死で止めるリーに右京は眉を寄せた。
『なんで?』
『なんでって…それは…』
だんだん赤面するリーを不審な目で見ると彼は『実は…』と話し出した。