とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
「年末はいいとして、今年は大丈夫?」
「なにが?」
「誕生日だよ!」
誕生日…?
「誕生日!!忘れてた…」
「…またかよ…」
講堂に移動中に虎太郎に言われた言葉に焦った。
虎太郎は『デジャヴだ』と溜め息を付いた。
ついこの前喧嘩をしたばかりなのに…
頭を抱える右京に『今回は自分でなんとかしろ』と虎太郎は冷たく言い放った。
レポートに追われすっかり忘れていた事を悔いるが、はっきり言ってマモンの件もあるからまともに用意出来る自信がなかった。
「ま、思いっ切り悩みな!」
虎太郎は右京の肩を叩くと軽く手を振って講義に向かった。
自分も講堂に入るとアランを見つけて隣りに座った。
『浮かない顔してるね…』
『忍の誕生日があるのを忘れてたんだよ…』
『おやおや…紳士としてあるまじき失態だよ?』
アランに『おっしゃる通りです』と答えてうなだれた。
『そういえば昨日リサにも紳士的じゃない態度をとったみたいだね?』
『…なんで知ってる…』
『寮の前で会ったから。』
『なるほど…』
『ヒューガに任せてしまったけどね。』
『昨日虎太郎がリサを介抱したらしい…』
アランはちょっと驚いた顔をして『ほぅ』と呟いた。