シュガーレス・キス


涼子は根は良い奴だから友達でいたいんだけどな。


一ヶ月くらい前から急激に積極的になったと思う。



悪いけど友達以上に思えない、そう言えたらどんなに楽なことやら。


小さな溜め息を溢す。


涼子を引き離すためにどうしようか悩んでいると、ふと目にはいるハルの姿。


…いつの間に移動したんだ。


俺たちから離れてこっちをじっと見つめるハルの表情は少し羨ましそうで、でも悲しみも含まれていた。



「……ハ―――…」


ハル。

そう呼ぼうとしていた自分に気がついて口を手で押さえる。


危なかった…。

運良く誰も気づいていない。


その場が賑やかになっていくことを良いことに俺は「ちょっと電話」と言ってハルのいるほうに向かった。


「なんだよ」

『何が?』

「何って…ずっと見てたじゃん」


柵に寄りかかり電話してるように見せながらハルと話す。


寂しそうにしてたから来てやったのにハルは何にもなかったかのような笑顔を向けた。
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