シュガーレス・キス
「つーか、今何時だよ」
『え?もう8時になるよ?』
「⁉ なんでもっと早く起こさねぇんだよ!ばかっ!」
『ばか⁈何時に起きるかなんて知らないもん‼それに昨日サボってたから!』
「昨日と今日は違うんだよ!」
『屁理屈すぎっ』
朝っぱらからハルと言い合って急いで仕度する。
ハルと出会って2日目。
俺たちの生活はまだまだこれからだった。
『悠那くん早くっ!』
「分かってるつーの!」
ばだばたと家中を駆け回る俺の様子をハルは楽しそうにみていた。
「父さん、母さん、行って来ます」
玄関の鍵を閉めてエレベーターに乗り一階まで降りるとハルが既にニコニコしながら待っていた。
俺もそれに返すように口の端を持ち上げて微笑む。
歩きだすとハルはフワリと体を浮かして付いてきた。
「あー…もう無理かな」
『遅刻?』
「多分。走れば間に合うと思うけど、いいや」
『ダメに決まってるでしょ!行くよっ』
「は?」
ハルの顔が険しくなったかと思うと、ズボンに突っ込んでた手を腕ごと思い切り引っ張った。
「何だよ⁉」
『走るんだよ!遅刻ダメだよっ」
はあ⁉
ていうかありえねぇっ‼‼