シュガーレス・キス
ホントに女かと思うくらい強い力で腕を引かれた。
てか幽霊なのに力加減とかもあんのか。
と、どうでもいいことを考えながらハルのされるがままに全力疾走をさせられて着いた学校。
チャイムがなる5分前。
凄いと思ったけど、この息切れは半端ない。
「―っ…はぁっ、はぁ…っ」
『悠那くん、足早いね!』
「てめぇが無理矢理走らせたんだろうが!!」
下駄箱で思わず叫んで皆の注目の的。
変な目で見られて急いで携帯を手に持ち電話をしている振りをしてその場を離れた。
苦しい言い訳のようだけど今はこうするしかなかった。
くそっ!調子狂う!
相手が幽霊だと余計に俺が変な奴だと思われる!
ただでさえ問題児で評判が悪いのにっ。
ハルといるときは携帯は絶対必需品。
「おっ。高谷が教室にいるの珍しいじゃーん」
「順平」
自分の席に座ってると八田順平が手をあげて俺のところにやってきた。
その後ろには三木と涼子、それからスミレちゃんもいた。