シュガーレス・キス
「高谷くん」
「あ」
鍵の閉まっている自分のクラスの前で座り込んでいると担任の香織ちゃんが声をかけてきた。
「またサボったのね」
「…ははっ」
もうっ…と頬を膨らます香織ちゃんに苦笑いを見せる。
屋上を出たあと結局1時間目の授業をサボった。
始まってから30分は経過してたし、よくよく考えたら手に何も勉強道具を持っていなかったし。まぁいいやって。
「あまりサボりすぎないように」
「そこは先生らしく叱るところじゃないの?」
「叱ったところで高谷くんが授業に出るとは限らないもの」
ああ…まあ、確かに。否定はしない。
そんなの気分だし。
香織ちゃんは俺のことをよくわかってるよね。だから好きなんだけど。
俺に呆れてる教師たちよりも優しくて生徒思いで。それにグチグチ言ってこない。
香織ちゃんは唯一信頼できる人。