シュガーレス・キス


…母さんもあんなふうに料理してたっけ。


小さい頃の話だけど、俺がキッチンに立つ母さんをみていたら母さんは笑って言うんだ。


ーーー『今日は悠那の好きなハンバーグだよーっ』


料理上手な母さんのご飯はとても美味しかった。

父さんが帰ってから三人で食べるご飯は特別だった。



『できたよ!食べてっ悠那くん!』


呼ばれて机の上に出されたものを見つめる。


本当にハルが作ったのか?このカレーを?
立派すぎじゃね?


『味の保証はできないけど…』

「あ、美味い」

『本当⁉』

「うん、カレーはやっぱり甘口だよなー」

『よかったぁ…!』


次々とカレーを口に運んでいるとハルは小さく笑ってホッとしていた。


『いろいろ切りすぎたり焦がしたりで沢山出来ちゃったんだ!いーぱい食べてね!』


ドンと目の前に置かれた中鍋にはザッと四人前は入ったカレーが残っていた。


…俺が食えと?毎日?なくなるまで?



食べ終わって恐る恐るキッチンを覗いてみると悲惨なことになっていて言葉が出なかった。


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