シュガーレス・キス


ーーーーーー…


『きゃあーっ‼』

『どうした⁉…あーあ、何やってんの…。焦げてるじゃん』

『だってぇ…』


叫び声に、びっくりして駆け寄ると焦げ臭い匂いが充満していた。

フライパンの中にあるハンバーグらしきものは真っ黒になっていた。


『怪我は?してない?』

『…だいじょぶ』


落ち込んだ彼女を心配しながら「気にすんな」と声をかけた男性は、作りかけのハンバーグを作り直し始めた。


『無理すんなって。ただでさえ不器用なんだから』

『作りたかったんだもん…』


ぽそっと呟く彼女は男性の服の裾をつまんで言った。



『私が、ーーーの為に作りたかったんだもん』




そこで夢は切れて目が覚めた。

頭の横でなり続けるアラームを止めて体を起こす。


はあ…と大きめの深い溜め息をついて手で顔を覆った。

< 29 / 49 >

この作品をシェア

pagetop