シュガーレス・キス
ーーーーーー…
『きゃあーっ‼』
『どうした⁉…あーあ、何やってんの…。焦げてるじゃん』
『だってぇ…』
叫び声に、びっくりして駆け寄ると焦げ臭い匂いが充満していた。
フライパンの中にあるハンバーグらしきものは真っ黒になっていた。
『怪我は?してない?』
『…だいじょぶ』
落ち込んだ彼女を心配しながら「気にすんな」と声をかけた男性は、作りかけのハンバーグを作り直し始めた。
『無理すんなって。ただでさえ不器用なんだから』
『作りたかったんだもん…』
ぽそっと呟く彼女は男性の服の裾をつまんで言った。
『私が、ーーーの為に作りたかったんだもん』
そこで夢は切れて目が覚めた。
頭の横でなり続けるアラームを止めて体を起こす。
はあ…と大きめの深い溜め息をついて手で顔を覆った。