シュガーレス・キス
am 07:15
頭の真横でバイブと共に鳴り響く携帯のアラームを止めるために手探りながら布団から手を伸ばした。
急激に冷え込んだ12月上旬。
肌寒い季節に、温もりのある布団の中から簡単に出られるわけがなかった。
アラームを止めて、もぞもぞと伸ばした手を引っ込めて、あと5分だけ寝ようと頭まで布団を被ると"彼女"が起こしにきた。
『悠那くーん、朝でーすよー』
「……ん、も少し…。」
小さく返事をするとカーテンが開いた音が耳に入って、瞑っていた目にも明かりが入った気がした。
…もう、朝か。
昨日夜更かししたもんだから寝てねぇよ。
ていうか、俺ん家、誰かいたっけ…?俺、一人暮らしのはず…。
なんて寝惚けたまま小さな疑問を抱いて、夢と現実を彷徨いそうになっていると、勢いよく被っていた布団がはがされた。
「―――!?」
びっくりして目を見開くと、そこには見覚えのある1人の女の子の顔が目の前にあった。
『あ、起きた』
俺の思考回路、一時停止。
そんな俺に構わず"彼女"はフニャッて頬を緩めて笑った。
『おはよう、悠那くん』
この日の朝、俺の声にならない叫び声と、ドスンと落ちる大きな音が部屋に響き渡ることから1日が始まった。
「なっ…なんで!?」