シュガーレス・キス


……英語のプリント…。

しかも今日までに提出だったやつな気がする。


昨日の帰り際に香織ちゃんに呼び出されて渡されたんだった。


『明日、絶対に出してね』と念を押されたのを覚えてる。


やったのはいいけど入れっぱなしだったか。さっき渡せば良かった。

でも気づいて良かった。

放課後行くのも面倒臭いし、今行ってこようかな。


「あれ、高谷食わねぇの?」

「用事思い出した。食ってて」


プリントだけ持って図書室を出ると、廊下の先にスミレちゃんを見つけた。


手には沢山のパンと二本のペットボトル。


三木のやつ、また人に任せたな。
しかも女の子に。


「あれ?悠那。どこ行くの?」

「香織ちゃんのとこ。プリント出しに。三木はどうしたよ」


今にも落ちそうなペットボトルを引き抜くとスミレちゃんは「ありがとー」と微笑んだ。


「三木はね、先輩に呼び出されてたから先に来ちゃった」

「荷物全部持たせて?」

「待っててって言われたんだけど告白の邪魔しちゃ悪いと思ったし」


うんうんと聞いている間にもスミレちゃんの口からはいつのまにか三木に対しての悪口みたいになってきて、聞いているこっちが面白かった。




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