シュガーレス・キス
「お願い!誰にも言わないでください!」
涙目になりながら俺に頼み込む香織ちゃん。その必死さがなんとも言えないくらい可愛らしい。
そんな香織ちゃんとは逆に冷静で慣れた手つきでコーヒーをくれた翔太。
「俺からも頼むよ。俺の不注意だから香織さんに迷惑かけたくないんだ」
「別に言わないよ」
めんどくさいし。香織ちゃんにはいつもお世話になってるし。
椅子に浅く座って背もたれに寄りかかりながらコーヒーを飲む。
口の中で苦味が広がった。
「人の恋愛につべこべいう奴が可笑しいんだから、気にしないで付き合えばいいじゃん」
そう言うと、香織ちゃんと翔太はキョトンとした表情で俺をみた。
「場をわきまえた方が良いとは思うけど、教師と生徒でも人間だし、1人の男と女なんだから好きなようにすればいいと思うよ」