シュガーレス・キス


ベッドに寝そべっていた体を急に起こすと、背中からダイレクトに落ちた。

ズキズキと痛む腰を押さえながら、今の状況を必死で理解しようとしたけど寝起きなもんで頭が回らない。


布団を取られて怒ることよりもキョトンとして平然と宙を浮いている彼女に声を上げた。


「どうして此処にお前がいるんだよっ!?」


高谷悠那(17)
極普通の高校生。

マンションで一人暮らしをしているのに何故コイツは俺ん家にいるんでしょうか 。


『昨日のこと、覚えてないの?』

「覚えてる…覚えてるけど家に呼んだ覚えはねぇ!」


声を荒げて言う俺に対して、コイツはふわふわと浮いてうろついたまま「ひどーい」なんて口にしていた。


ひどいじゃねぇよ!お呼びじゃねぇのに何で此処にいるんだっ!


『悠那くんのあと、ついてきちゃった』


語尾にハートが付きそうな程、甘い声で言う彼女に俺は肩を落として溜め息をついた。






――――遡ること、1日前。
つまり昨日のこと。


俺は不思議な出逢いをした。

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