シュガーレス・キス
―――ねぇ、何か飲む?
―――じゃあココアが良い。飛びっきり甘いやつね。
―――また?いつもココアじゃんっ。糖尿病になっても知らないよ。
―――ばっか!ココアの美味さナメんなよ。
一瞬だけ、こんな背景が頭を通り過ぎた。
相手は…――そうだ。
この間、頭に浮かんだ女の子。
ハルみたいにふわふわしてそうな女の子。笑顔が似てる女の子。
今の浮かんが光景は、幸せそうな一時の一瞬なんだと思う。
『悠那くん?』
「えっ?」
『いや、ずっと見てくるから』
そう言われて、ヤケに恥ずかしくなって目を反らした。
ドキドキと高鳴る鼓動を抑えようとすればするほど収まらない。
なんだこれ。なんだ、これ!
これじゃーまるでハルを意識しるみたいじゃないか!
違うっ!違う違う違う!
だって俺にはー…っ。
"俺には…"?