シュガーレス・キス
午後の授業をサボって屋上で1人、煙草を吸っているときだった。
クラスの問題児として扱われている俺は、まぁ…当たり前に教師共からは見放されている状態で、授業を抜け出すのもしょっちゅう。
この日も何となく面倒臭くなって昼休みが終わったあとに職員室から盗んで作った合鍵を持って屋上に向かった。
柵に寄りかかって煙草を吸っている時に、加えていたのがいきなり無くなったのが、事の始まりだった。
誰もいない屋上で、風も吹いていない屋上で。
ものが無くなるなんてまず、いや明らかにありえない。
何がどうなっているのか呆然としていると、どこからか声が聞こえた。
『ふふっ、間抜け面ね』
「…え…?」
『高校生が煙草なんて吸っちゃいけないんだよ。20歳になってからって法律で決まってるでしょー?』
「―――!?」
目の前に吸いかけていた煙草だけが空中に浮いていて、俺は目を点にした。
なんで?どうして?
ついに目がイカれたか?
その一点だけを見つめていると、ぼんやりと見えてきたのは、地に足も着かずふわふわと浮いて立っている女の子。
それが"彼女"だった。