シュガーレス・キス


肩下くらいまでのさらさらな黒髪が綺麗で、くりくりとした色素の薄い瞳が魅力的で。

可愛い。

それが第一印象だった。


でも、そんなことを思わせたのはたったの一瞬で、直ぐに目の前の現実に引き戻された。


どうして女の子が誰もいなかったはずの屋上にいるのだろうか?

物音一つたたせずにどうやって此処に?

どうして俺の前に"浮いて"いるのだろうか。



やっぱり耳も目もイカれたか。


不思議でしょうがない。


よくみるとこの子透けてるし…!!


しかも着てる制服すら違う…。
うちの学校、セーラー服じゃないよ。



ていうか、本当に何で此処にいるんだよ。


屋上の鍵なんて持ってないよな。

多分、俺だけが合鍵を作ったはずだし、学校の鍵類なんて職員室で保管してあるから他の生徒が持ってるわけがない。

ましてや、他校生なんてもっとありえない。


屋上に入って直ぐに鍵閉めたと思ったんだけど…。


彼女は何故、この場にいる?
どうやって此処に来た?



「お前……だれ?」




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