シュガーレス・キス


驚きが隠せなくて何も言葉を出せなかった俺が、数分して漸く出せた一声だった。


どうして浮いてるんだとか、透けてるんだとか、何故1人でいるんだとか。


疑問ばかりが浮かぶ中、出てきたのは「誰」。


…いや、まぁこれも疑問の一つだったのは間違いないんだけど。


冷静でいれているようだけど内心パニクってて頭の中が可笑しくなりそうだ。


クスッと笑う彼女に目を向けると、微笑みながら俺に近づいてきた。


フワリと一瞬、柔らかい風が吹いた気がした。


『私、ハル』



人差し指を立てて、自分に向けた彼女。

その仕草でさえ不覚にもときめいた。



『あなたは?』

「…は…」

『名前』


目を細めて柔らかく笑った彼女に尋ねられ、咄嗟に答える。


「ゆ、悠那」


ハルと名乗る美少女は「ふーん」と言いながらふわふわと俺の回りを飛び回った。



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