シュガーレス・キス


…何がしたいんだ、コイツ。



『背、高いね』

「まぁ…」

『いくつあるの?』

「…180ちょい…?」

『お父さん譲りなの?』

「いや…母親だけど。」


…って、おい。

何見ず知らずの、しかも得体の知れないような奴にたんたんと受け答えちゃってんの、俺。


そう思いながらも、お構い無しに次々と投げ掛けてくるハルの質問やら何やらに答えてる俺も俺ですけど。



『悠那くんて、女顔だね』

「うるせっ」


初対面のくせに何なんだ、コイツは。

失礼なこと言うな。


『コンプレックスなの?』

「…別に。そういうわけじゃねーけど」


ゴニョゴニョ喋る俺に、ハルはキョトンとして話すのを待っている。



「コンプレックスなわけじゃない。ただ…せっかく両親が頑張って産んで育ててくれて俺という存在があるのに、容姿だけでからかわれたりするのは気に障る。ムカつくよ」


父親譲りの女顔。
母親譲りの高身長。


これが俺なんだと胸を張って言えるけれど、昔はこんな自分が嫌いだった。

両親に八つ当たりして困らせたこともある。
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