シュガーレス・キス
小学生のときなんか身長なんて全然なくて、そこら辺の女子と同じくらいの高さだったし、相変わらず女っぽい顔だから"女男の悠那"ってからかわれる。
昔より遥かに少なくなったけど。
今となっちゃ、充分身長も伸びたし女顔も気にしなくなったし。
それよかモテるようになったし悪い気はしない。
それなりに満足してる。
そういえば父さんも俺と似たようなことでからかわれたりしたって言ってたっけ。
親子揃って同じことの繰り返しか、と思い出して鼻で笑うと、グスグス泣きじゃくる声が聞こえた。
印象強かった瞳に大量の涙を溜めては流し落とすハルの姿。
「何泣いてんだよっ!?意味わかんねぇっ」
『ごめんなさぁい…!だって悠那くん偉くて強いと思ってぇ……なのに私、無神経なことっ!ご両親にもごめんなさいーっ…!』
…どうすればいい、コイツ。
俺、意外と両親思いの息子ですけど。大事にしますから。
親孝行だってそれなりにしたつもりだよ。
泣きながら謝るハルは合間に目を赤くしながら言ったんだ。
『…悠那くんは素敵なご両親に愛されて育てられたんだね』
そうだよ。
自慢の両親だった。
まだ泣くハルにどうしていいのかわからなくて、とりあえず泣き止むのを待った。