会長サマは、幼なじみ。
生まれたときから家は隣通し。
当然のように、彼女と同じ幼稚園に通って、同じ小学校に通って…。
そして、一つ年上の彼女の、小学校の卒業式。
「あたし、上ノ園中学受験して…受かったから、そこ行くんだよね」
心なしか、寂しそうに言う彼女。
…初めて知らされた。
彼女は、近所にある普通の公立中学ではなく…少し離れた、かなりレベルの高い私立の中学に行くらしい。
…けど、“寂しい”なんて感情…僕の中にはあるわけもない。
ましてや嬉しかった。
『やっと離れられる』…そう思ってたから。
…その日の夜、
「あんたも上ノ園受けなよ」
…母親にそう言われるまでは。