恋色オレンジ〜夕焼け色の恋〜
『バッ、バカ!財布なんて忘れてないよ』
なんで?
なんでだろう。
なんか今……
あたし、翔にドキッとした。
『じゃあ何?』
『あぁ。あのね、隣のクラスの桃井さんって分かる?』
『うーん、分かんねえ』
翔はそう言うと、難しい顔をしながら首を傾げる。
『えっ、まぁいいや。その桃井さんがね、今日放課後に体育館の前に来てほしいんだって』
『はぁ?誰に?』
『だから翔にだよ』
『なんで』
『なんでって…あたしも分かんないよ。でも伝えてくれって頼まれたからちゃんと行ってよね』
『はぁ?なんでだよ、行かねーぞ俺』
『ダメだって、行かせるって言っちゃったもん』
あたしがそう言うと、翔はハァッとため息をついて、『分かったよ』と一言言った。