恋色オレンジ〜夕焼け色の恋〜
嫌だと思った。
あの場所は……
あたし達の場所だから。
だから連れてなんていきたくないって…そう思った。
でも、
「ダメ?」
「いえ…ダメとかじゃないです、全然…」
「じゃあ、いいの⁉」
「あぁ…はい、大丈夫です」
断る理由が見つからなくて。
あたしは秋野さんと一緒に。
いつもの場所へと向かったんだ。
だけど……
「翔ってさ、ああ見えて結構甘えん坊なんだよね」
「えっ?」
「一緒にいるとすぐくっついてくるし、俺には年上が合ってるとか言ってさぁ」
徒歩通学の秋野さんと一緒に、自転車を押しながら河川敷まで向かう間、秋野さんはあたしに翔との話ばかりをしてきて。
「そうなんですか…」
「そうなの、まぁ私もそれがまた可愛いなぁとか思ったりするんだけど」
「…はい…」
「ミチちゃんとマナちゃんのこと、あいつらは女じゃない、とか言ったりしてたんだよー?ひどいよねー?」
「あぁ…はい…」
聞きたくもない話を、ずっとベラベラ話し続けていた。
そして
『翔〜っ♪』
河川敷のいつもの場所に着くと、すぐに秋野さんは翔を見つけて。
あたしよりも先にみんなのもとへ駆けていった。
驚いた顔をする翔やタク達の顔。
それを戸惑いながら見ていると、秋野さんは翔達に言った。
『ミチちゃんがね、一緒に行きませんかって言ってくれてさ。来ちゃった♪』
『えっ?ミチが?』
翔はそう言うと、気まずい空気を出すあたしを見つめながら、そっかと一言つぶやいた。