‡ツンデレラとオタクさま‡
「これ?」
「あ、ありがとうございます。桐谷先輩」
女の子の前に眼鏡を差し出すと、何故か桐谷先輩の名前が出た。
「えっと、俺は松村、だけど」
「∑え!??…っち」
∑舌打ち!!!??
とりあえず手を差し出して立たせようと思ったのに、その子は何もなかったように自力で立ち上がった。
「希美ちゃん、大丈夫?」
「はい!私は大丈夫です」
桐谷先輩が声をかけるとその子は元気よく返事をした。
僕の時は舌打ちだったのに。
桐谷先輩ファンは恐い!
そう思った僕に届いた、知ってる匂い。
いや、香水。
バッと振り返ると、先ほどの女の子、希美ちゃんが僕とすれ違って何処かに行っていた。
みるくちゃんがつけてる香水の匂い。
でもみるくちゃんがつけてる香水だっていろんな人が持ってる。
希美ちゃんもたまたま持ってただけにすぎない。
でも、何故か異様に彼女が気になった。
三編み眼鏡でとてもみるくちゃんと似てにつかない彼女が。