永遠の色を重ねて
花咲か爺さん


 柔らかな光が射し穏やかな風が吹く。新しいことが始まる季節、春がやって来ました。


「──今日からこちらで働くことになりました、綾瀬 優月(アヤセ ユヅキ)と申します。至らぬことばかりだと思いますが、皆様どうぞよろしくお願い致します。」


 看護学校を卒業し、晴れてこちらの病院に勤めることになりました。私も新たな節目を迎えます。


「こちらこそ、よろしくね。」


「まぁ、まだ若いのに礼儀正しいわねぇ。」


 皆さんとても優しい方で、僅かにあった不安もすぐに消えてなくなりました。どうやら上手くやっていけそうです。


 その後事務の内容などを教えて頂き、担当することになった患者さん方へ挨拶に伺いました。


腰を痛めたお婆さま。
足を骨折なさった男性。
喘息持ちの男の子。


そして、あるご老人と出逢ったのです。



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