永遠の色を重ねて


「老人ホーム…ですか。」


 つまり、今住んでいるお家から出なければならないということです。それを察してみーちゃんは土岐さんに会いに来たのでしょうか。


 土岐さんはみーちゃんを抱き上げると、そのフワフワの毛に顔をうずめました。


「いつの間にか、老人なんて呼ばれる年になっちゃったのねぇ。でも、これ以上迷惑かけられないわ…」


 土岐さんは息子さん夫婦と暮らしています。共働きの為、退院してもろくにお世話が出来ないというのが理由だそうです。


 気を使って優しく微笑んで下さる土岐さんが、とても痛々しかったです。


 私が見たかったのは、こんな顔ではありません。楽しい、嬉しい、という心からの笑顔です。


土岐さんとみーちゃん。


 離れ離れになってしまう彼女達に、何かしてあげられることはないでしょうか?


 その日私は、光崎さんの病室を訪れました。



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