永遠の色を重ねて
読み終えた時、せっかくのお手紙が涙でグチャグチャになっていた。
嬉しくても涙が出るなんて、人間て本当に可笑しな生き物だわ。
「お義母さん、大丈夫ですか?」
心配そうな表情で、嫁がスッとハンカチを差し出してくれた。
「ありがとう…」
ハンカチで目を押さえながら、わたしは心の中で神様に感謝をした。
裕福ではないけれど、温かい家族に恵まれたこと。優しい人達に出逢えたこと。
今、声を大にして言いたい。
──ありがとう。わたし今、とっても幸せよ。
それからしばらくして、土岐さんは元気に暮らしていると、ご家族の方から連絡を頂きました。
『何だか昔よりも元気になって、「曾孫が成人するまで生きる」なんて言ってるんですよ。』
「ふふっ、素敵な夢じゃないですか。」
──今日も空は高く、良いお天気です。
土岐さんはお庭の陽だまりで、微笑んでいることでしょう。