永遠の色を重ねて
ベッドサイドに置かれた写真立てを眺めながら、紅松さんは話し出しました。
「…おれ達、18歳で出来婚したんすよ。もちろん周りからは反対されたけど、『苦労はさせない』って押し通した。それなのに…」
紅松さんはギプスをはめられたご自身の左足を強く睨みつけました。
「子どもが小学校に上がる前のこの大事な時期に怪我して、働けなくて、香耶乃に迷惑かけまくってる…。」
ようやく納得がいきました。
口論をしてしまうのは香耶乃さんが来ることが嫌なのではなく、自分のお見舞いに通うことで負担が増すのではという、罪悪感の表れだったのです。
「だから、出来るだけ早くリハビリしたいんすよ。何とかならないすかねぇ?」
はは、と紅松さんは苦笑いを浮かべました。
家族を想う責任の強さ、確かに伝わってきます。ですが…。
「あと一ヶ月くらいで出来ますよ。…大人しくしていれば、ですけれど。」
「…ですよねぇ。」
申し訳ないですが、安静にしていないと歩けるようにはなりません。