永遠の色を重ねて


 遠回しに言うのも何か変ですので、私は直球に尋ねてみました。


「光崎さん。今、病院長がいらっしゃってたようですけれど…何かあったんですか?」


 治療などに関する事ならば、担当看護士である私にも伝えられるはずです。


 なぜ病院長がいらっしゃられたのか、検討もつきません。


「うん?…ああ、そうか。綾瀬さんには言ってなかったかね。」


 光崎さんがおっしゃった言葉に、私は驚きました。


「あれは、うちのせがれでね。」


「………え!?」


 病院長が光崎さんの息子さんだなんて、思いも寄りませんでした。ですが疑問があります。


 病院長の姓は高丘(タカオカ)です。名字が違うのはなぜなのでしょう。


 疑問を察してか、光崎さんはすぐにおっしゃっいました。


「大分昔、妻に別れてくれと言われてね。この病院に入院して、久しぶりに再会したんだよ。」


「そう、だったんですか…」


 私は、聞いてはいけないことを聞いてしまったのでしょうか。



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