永遠の色を重ねて
ですが、光崎さんは変わらず温かい笑みを浮かべておっしゃっいます。
「別に気にすることはないよ。むしろ聞いてほしかったくらいだ。」
視線の先には、押し花用の洋書とは別に置かれた古いアルバムがありました。
「飲んだくれで父親らしいことなんか一つもしてやらなかったこの儂を、今でも゙父さん゙と呼んでくれる。あいつは優しくて真面目な自慢の息子なんだ…とね。」
やっぱり子どもは良いよ、と光崎さんはしみじみと呟かれました。
その表情はやはり、親の顔です。
「…綾瀬さんには良い人、居るのかい?」
唐突な質問に、思わず言葉に詰まりました。恐らく今、私の顔は赤いのでしょう。
「なぁんだ、居るのか。」
「…はい。」
「そうか。息子の嫁さんに、と思ったんだが。残念だ。」
本気で残念そうな光崎さん。苦笑いをするしかありません。