永遠の色を重ねて




 翌日。紅松 慎吾は時計を見て首を傾げていた。


 いつも決まって同じ時間にやって来ていた妻が、夕方になっても姿を見せないのだ。


──昨日のあれで、怒らせちまったのかな…。


 毎日は来なくて良い、とは言ったものの。いざそうなるとなかなか寂しいものだった。


──そういや、香耶乃とは高校ん時からずっと一緒なんだよな。


 入学して、同じクラスになって、隣の席になって。初めは、騒がしい女だなぁと思ってた。















「ぅおっと!ヤバい、どうしよう…っ」


 隣から聞こえてきた奇声にふと視線を向けてみれば、そこには真っ白な米だけが詰まった弁当箱が二つ。


「達哉のやつ、またカレーの方持ってったわ…!」


 おかずのない弁当に撃沈する様子を見て、何だか哀れに思えてきた。



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