永遠の色を重ねて
「…食うか?」
スッと弁当箱を差し出すと、しっぽを振る犬のように瞳を輝かせた。
「え!いいの!?」
「ん、ああ。おれの弁当三段あるし。」
「ぅわー、ありがと!じゃあこれあげる!」
おかずと引き換えに手渡された白米弁当。いや、別にいらないんだが…。
「あー…うん。」
きっかけは些細なもん。それからよく話すようになって、一緒に居るのが当たり前になって、自然に結婚した。
周りからは早すぎるとかノリだとか言われたけど、香耶乃はおれにとって空気だから。離れるなんて考えられないし、後悔もしてない。
──いつの間に、こんなに好きになってたんだろ。
早く働けるようにならないと呆れられるかな。香耶乃も娘の真耶も大好きだから、「別れて」なんて言われたら立ち直れないな。
「──パパっ!」
「ん、どうした真耶……え?」
恋しくなってとうとう幻聴まで聞こえだしたか、と思ったら。目の前には確かに娘が居た。