永遠の色を重ねて


「…約束よ!」


 夕陽に包まれ、二人は小指を絡めた。一緒に居ようと誓ったあの日のように、固い絆で。


 娘と手を繋いで病室を出た香耶乃は、入口で事の成り行きを見守っていた人物に悪戯な笑みを向けた。


「説得するのに娘使おうだなんて、綾瀬さんって案外えげつないのね。」


「ふふ。何とでもおっしゃって下さい。」


 この日以降二人が仲の良い友人になったのは、また別のお話。















 大人しくしていた甲斐があり、翌月には歩けるようになった紅松さん。調子に乗って早足になると香耶乃さんに叱られ、賑やかなリハビリとなりました。


そして…。


「退院おめでとうございます。これ、花咲爺さんからです。」


 そう言って四角い包みを渡すと、紅松さん達は驚いた顔をなさいました。


「花咲爺さんって、あの噂の…?」


「主人の為にわざわざ…」


「ええ。どうぞ、開けてみて下さい。」


 互いに見合わせた後、そっと包みを解く。そこには…。


「可愛い…!」


 二つの手に護られるように眠る、赤ちゃんの絵。オレンジ色の押し花が添えられています。


「これからも、家族で協力し合って生きて下さいね。」


「「ありがとう…!」」


 今日もまた一つ、笑顔が咲きました。





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