永遠の色を重ねて
あまりにも華やかな景色に見入っていると、そのご老人・光崎さんは人好きのする穏やかな笑みを私に向けて下さいました。
「おや…これはまた美しい娘さんが来てくれたもんだ。」
「あ…今日から担当させて頂きます、綾瀬と申します。よろしくお願い致します。」
挨拶を忘れてしまっていたことと、美しいなんて言われたことで、私の顔は真っ赤になっていたと思います。
お花に囲まれている光崎さん。だから花咲爺さんと呼ばれているのでしょうか。
すると、光崎さんが言いました。
「済まないが看護士さん…綾瀬さんと言ったね。」
「はい。」
「さっそくで悪いんだが、左から二番目と右から一番目を取ってもらえんか?」
指差す先には、紙の上に乗った花びらがありました。
婦長さんから光崎さんは足がお悪いと聞いていたので、迷わず頷きました。