永遠の色を重ねて
病室で一人俯いていた立樹くん。私が顔を出すと、律儀に頭を下げてくれました。
「…さっきは、ごめんなさ…」
謝罪を述べようとした唇を指で制し、私は言いました。
「相手が違うでしょう。それにね、海翔くんはあなたのこと、怒ってなんかいないわ。」
先程海翔くんが話してくれたことを伝えると、立樹くんはバツの悪そうな顔をしました。
「海翔、そんなこと言ってたんだ。…悪いことしちゃったな。」
サイドに置いてあるスケッチブックを見つめる申し訳なさそうな横顔に、一つ提案をしてみました。
「…その絵、海翔くんにプレゼントしてみたらどうかしら。」
「え…っ?」
立樹くんの絵がずば抜けて上手なことは、私達看護士の間ではかなり知られていました。恥ずかしがってあまり見せてはもらえませんけれど。
「僕の絵で…海翔、喜んでくれるかな…?」