永遠の色を重ねて
ドキドキと、心臓の音が聞こえてきそうな表情。それが可愛らしくて、つい微笑んでしまいました。
「大丈夫よ。もっと自分に自信を持って。」
「うん…!」
いつもは少し大人びている立樹くんの、初めて見る無邪気な笑顔でした。
「……あ、お姉さん。一つワガママ言ってもいい?」
「はい、何でしょう。」
急に真剣な表情になった立樹くん。その口から出たのは意外な言葉でした。
「僕、"花咲爺さん"に絵を習いたい。…ダメかな?」
「え?」
立樹くんはスケッチブックを開いて今日描いた絵を見せてくれました。
風に揺れる可憐な花の絵。しかし鉛筆の線だけで、色は付いていません。
「この前退院していったおばあちゃんやおじさん、花咲爺さんの絵持ってたでしょ?僕、すごく感動したんだ!」
キラキラとした眼差し。その純真さに心打たれ、私は答えました。
「分かりました。相談してみるね。」
「ありがとう、お姉さん!」