永遠の色を重ねて
その日の夕方、事情を話すと光崎さんは快く了承して下さいました。
「人に教える程のものじゃあないが、喜んで。」
「そんなことはないです。ありがとうございます。」
私はお礼を述べながらも、一つだけ気がかりなことがありました。
「ただ…」
「ただ?」
ゆっくりと視線を移し、一面に広げられた花束に視線を留めました。
「喘息持ちの立樹くんが、この環境に耐えられるかが心配です。」
大量の花粉は症状を引き起こす要因ともなります。いくらお互いが了承しても、危険が伴うのなら許可をしたくても出来ません。
すると光崎さんは考えるような仕草をし、一つ提案をなさいました。
「なら、儂がその子の病室に行けば問題ない。」
その言葉に、私は驚きました。
光崎さんは一日一回リハビリの為に移動はなさいますが、それ以外で病室を出るところを見たことがないからです。