永遠の色を重ねて
「ですが、光崎さんにご負担が…」
「なぁに、心配は要らないよ。人の笑顔を見るのが、儂の生きがいだからね。」
迷いのないくしゃっとした笑み。いったいどんな人生を歩んだら、こんなに優しい表情が出来るのでしょうか。
「…分かりました。よろしくお願い致します。」
次の日、光崎さんは杖をつきながらゆっくりと立樹くんの病室へ向かいました。
「悪いね、綾瀬さん。荷物を持たせてしまって。」
「いいえ。ほとんど花びらですし、軽いですから。」
光崎さんの背中を支えながら歩いていると、すれ違った婦長さんが驚いた顔をしていました。
「あらっ、光崎さんどちらへ?」
光崎さんは少年のような悪戯な笑みを浮かべ、答えました。
「出張花咲爺さん、だよ。」