永遠の色を重ねて
病室に着くと、待ちかねたというように立樹くんが顔を出しました。
「わあ、本物の花咲爺さんだ!こんにちは!」
「こんにちは。」
まるで孫を見るように、光崎さんは目を細めました。
テーブルに材料と道具を広げ、授業開始です。
「花びらは薄くて半透明だからね、重ねるとどんどん濃くなっていく。」
「本当だーっ」
「やり過ぎると汚くなるから、最小限にね。」
光崎さんの教え方が上手なのと、立樹くんが器用なことで、絵は見る見る内に出来上がりました。
「よし、完成だね。」
「あ、あのっ!ここに付け足したいものがあるんだけど…」
立樹くんは何やら相談を始めました。耳打ちされる内容に、光崎さんは頷きます。
「…うん、いいよ。そうしたらこれを…」
──さあ。どうなるのでしょうか?