永遠の色を重ねて


 病室に着くと、待ちかねたというように立樹くんが顔を出しました。


「わあ、本物の花咲爺さんだ!こんにちは!」


「こんにちは。」


 まるで孫を見るように、光崎さんは目を細めました。


 テーブルに材料と道具を広げ、授業開始です。


「花びらは薄くて半透明だからね、重ねるとどんどん濃くなっていく。」


「本当だーっ」


「やり過ぎると汚くなるから、最小限にね。」


 光崎さんの教え方が上手なのと、立樹くんが器用なことで、絵は見る見る内に出来上がりました。


「よし、完成だね。」


「あ、あのっ!ここに付け足したいものがあるんだけど…」


 立樹くんは何やら相談を始めました。耳打ちされる内容に、光崎さんは頷きます。


「…うん、いいよ。そうしたらこれを…」


──さあ。どうなるのでしょうか?





< 38 / 50 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop