永遠の色を重ねて
私は言われた通りに左から二番目と右から一番目の花びらを、下の紙に乗せたままで手渡しました。
「はい、どうぞ。」
「どうもありがとう。」
光崎さんはベッド脇の棚からスケッチブックとチューブ糊を取り出しました。どちらも学校で使うような、見慣れた種類の物です。
(何をするのかしら…?)
すると光崎さんはチューブから出した少量の糊を紙面に薄く塗り広げ、その上に先程の花びらを乗せました。
(まあ…)
迷わず置かれていく花びら達。鉛筆で下書きをしてある訳でもないのに、どんどん形を成していきます。
思わず見入っていた僅かな間に、真っ白だった紙の上に可愛らしい一羽の小鳥が現れました。色鮮やかなウグイスです。
よく見ると、緑色の花びらはいっさい使われていません。黄色や水色、様々な色を重ね合わせてあるのです。