永遠の色を重ねて


 そこには青い花と蝶が描かれてた。絵の具でも色鉛筆でもなく、押し花で色が付けられてる。


「これって…」


「うん。花咲爺さんに教えてもらったんだ。」


 立樹は恥ずかしそうに笑った。けどこの絵、本当に上手い。


「ありがとな!」


「うん!あ、あと…」


 立樹は一瞬考えるようにして、言った。


「その蝶、海翔が早く退院出来るようにって意味を込めて描いたんだ。」


「えっ?」


 小さな気遣い。立樹らしいや。


「ありがと…お前も、な!」


「うん!」


 絶対、元気になれるように頑張ろう。そう思った。















「仲直り出来たみたいね。」


「はい。」


 事の成り行きを見届け、鈴鹿さんと私はそっとその場を後にしました。


 喧嘩しても切れない絆。それはとても強く温かいものでした。





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